相続を多くやっていても、放棄の事例は今まで数えるほどです。しかし、今回、画期的な使い方がありました。配偶者や子がない方が亡くなったときに、母が相続人になるケースがあります。しかしその母も施設にいたりして不動産や財産をもらっても困る。そんなときに、母が放棄をするのです。そうすると相続人は亡くなった方のご兄弟になります。放棄は相続税の計算をする上で注意することが多くあります。生命保険、退職金の非課税は相続人が使えます。企業の確定拠出年金の一時金を受け取るとき、確定拠出年金法によると今回は母が取得することになっています。退職金は分割協議ではなく、みなし相続財産のため、放棄をしていても、受遺者として受け取ります。そこで使えたのが、母の障害者控除。母は本来であれば相続遺贈により財産を取得していないので障害者控除は使えないのですが、受遺者として障害者控除が利用でき、さらに、使い切れなかった障害者控除を扶養親族から控除できるので、結果的に、兄弟も相続税が0円になりました。狙っていたわけではありませんのでいろいろ偶然が重なりました。もし、母を放棄にすることを前提に、事前に対策するとすれば、兄弟を受取人の生命保険に入る。ということでしょうか。そうすると兄弟が非課税枠が使えますね。今回は母が財産を持っていたらきっと次の相続は子の財産が加算されて相続税は多額になっていたと思われます。相次相続控除が使えますが、今回、放棄という手段を利用するのは画期的な判断だと感じました。放棄は死亡後3か月以内に家庭裁判所に申請します。